幸せは食パンから じゅらく
豊中市永楽荘にある「じゅらく」は、三保友香さんが2009年7月にオープンさせた食パン専門店だ。自分が食べたかった食パンを試行錯誤の末に生み出し、「リッチじゅらく」として販売している。
三保さんは自分好みの食パンを探してみたものの、満足のいくパンに出会えなかった。「それならば自分で作ってしまおう」。そう思ったのが、パソコンインストラクターから一転、アナログな世界に飛び込むきっかけだった。
阪神間にある食パンやパイにこだわった店、あんパンが評判の店など4軒の店で修業した。「当時はツテもなく、『無給で置いてください』と、当たって砕けろ精神で店に掛け合った。見ず知らずの私をよく働かせてくれたと思います」
三保さんは手間ひまをかけることを大事にする。リッチじゅらくは、スーパーカメリヤという強力粉や沖縄県・宮古島の雪塩、練乳、発酵バターなど厳選した材料で作り、「さっくり、しっとり」が特徴。毎日の気温や湿度には敏感になる。手の感触で水分量を変え、味や食感が変わらないよう微妙に調整している。
一口ほお張ると、ほんのり甘い小麦の味がする。さっくりとした口当たりに、しっとりとした柔らかな食感が口の中に広がる。「食べる直前に厚めにスライスして、軽くトーストして食べてみてください」と三保さん。
取材中、地方へ配送する人が多いことに驚いた。遠くにいる大切な人に食べさせてあげたいのだそうだ。三保さんにとって食パンとは?と尋ねてみると、「一日の幸せの始まり」と話した。
リッチじゅらくは1斤600円。乳製品を使わない全粒粉パン(1斤400円)、こだわり抜いた材料で作る長時間熟成の「しろ」(1斤650円、週末のみ販売)、食パンの食べ方や組み合わせを提案する季節のフレーバー(ミニ食パン、0.5斤500円)もある。3月はクリームチーズにバニラビーンズと白みそを加え、桜の塩漬けをトッピングした「さくら」が並んでいる。 (進藤郁美)
「食パン専門店 じゅらく」 http://www.juraku-jp.com/
更新日時 2011/03/16