平岡家の味 有機茶屋あじゃり
逸翁美術館の近くにある「有機茶屋あじゃり」は、玄米を主食にした食生活法(マクロビオティック)と、精進料理を基本にしたオリジナルの家庭料理が食べられる店だ。平岡ありささんと妹の姿乃さんが2009年2月にオープンさせた。
もともと人の笑顔を見るのが大好きだったありささんは、ばく然と「自分の店を持って、おもてなしをしたい」と思っていた。
34歳で転機が訪れた。夫をがんで亡くした。夫の死に直面した時、細かな気遣いや思いやりなど、人としての心の大切さに気付いたという。「それまでとは心の重さが違う気がした。笑顔の大切さも改めて感じた」
ありささんは続ける。「夫が亡くなる前に、『数年後、君は妹と一緒にお店をしている。飲食かな』と言ったことにも後押しされている。何の迷いもなく、開店を目指して料理学校へ通った。この店にいると、いつも夫が見守ってくれているように感じる」
店のメニューは姿乃さんと2人でアイデアを出し合って決め、仕入れ、仕込み、接客までこなす。「何でも屋さん」と笑うが、内心は初めての経営に不安もある。「お客さんの言葉や笑顔が、私にとってのエナジードリンク。お客さんに救われ、育ててもらっている」と話す。
オリジナルの家庭料理とは「小さいころから慣れ親しんでいる平岡家の味。食材を厳選し、できるだけ体に優しい料理を作りたい」と、食材のほとんどは有機栽培や減農薬、保存料無添加のものを使う。午前7時からは、黒炒り玄米や雑穀のぞうすいなど、3つのセット(各700円)がある。昼食は単品のぞうすいやカレーのほか、セットメニューが3種類。1番人気があるのは有機玄穀ぞうすい御膳(ぞうすい、車麩=ふ=角煮、豆乳をクズなどで固めたごどうふ、香の物、デザート、飲み物付き1700円)。セットメニューはさらに5、6種類の旬の小鉢を選ぶことができる。おからのサラダが好評で、全種類を選ぶお客さんも多いそうだ。店内では、食材や自家製パンの販売も始めている。
(進藤郁美)
=地域密着新マチゴト豊中・池田」第12号(2011年1月2日)
更新日時 2010/12/25