オモニ自慢の味 ふくみみ
ふるさと韓国の味を食べてもらおうと、在日2世の髙秀子(コウ・スジャ)さんが2010年10月にプルコギ食堂「ふくみみ」を開いた。65歳の時だった。「体力に不安はあったが、子どもたちが地域に根付いて生活していけるよう道を作らなければならない」。オモニ(お母さん)は一念発起した。
髙さんは大阪市生野区に生まれ育ち、豊中市に住んで約40年になる。「私は料理人じゃない。だけど、料理は作るのも食べるのも好き」と話し、素材と手作りにこだわっている。材料は大阪市生野区の鶴橋卸売市場や豊中市の豊南市場などで仕入れる。鍋のベースとなるタレはフルーツや野菜を煮込んで作る。「隠し味は赤ワイン。韓国料理では珍しいはず」と誇らしげだった。この味がやみつきになって通う人も多く、女性客が8割を占める。なかには髙さんに人生相談を持ち掛ける人もいるという。従業員の目に映る髙さんは「気さくで豪快。みんなのお母さん」なんだそうだ。
髙さんは「人のつながりがなくては生きていけない」と言い、「お客さんが『お母さん、来たよ』と、店に来てくれるのが何よりうれしい。私の元気の源」と目を細める。
6月には阪急石橋駅近くに2号店を出すことになった。「若いころと違い、動作が鈍くなってきた。もどかしい時もあるが、死ぬまで現役でおりたい」と話している。
ランチは7種のナムル石焼きピビンパ定食は赤米か白米が選べ、4種類のおかずとスープが付いて980円。ほかにも韓国冷麺(めん)定食1000円、ピビン麺定食1000円、辛さが選べる豆腐チゲ定食980円などがある。夜はプルコギや海鮮焼き鍋、てっちゃん焼き鍋なども用意している。
(進藤郁美)
更新日時 2012/05/10