妻の明るさが支えた17年 天舞
阪急豊中駅の東側、国道176号沿いのビルの2階に天ぷらの「天舞(てんまい)」がある。店主の小柳進さんが1995年10月にオープンさせた。
小柳さんは18歳で初めて包丁を持ってから、日本料理一筋。45歳の時にようやく自分の店が持てたと話す。黙々と天ぷらを揚げる進さんの横で、妻の明生(あけみ)さんがカウンター越しに接客する。進さんは「店が17年続いたのは妻の明るさのおかげ」と照れ臭さそうに話す。開店時、明生さんは子育て中の主婦だった。明生さんは「最初の5年間は記憶がないぐらい大変だった。子どもは小さいし、お酒の入れ方もわからなかった」と振り返る。「今はお客さんと話すのが何より楽しい」と笑顔を見せる。
衣が薄く、からっと揚がった天ぷらの極意は、「油を手の内に入れること」と進さん。油をよく知るということだろう。「火力、入れるタイミングなどが合わないと、油も腹を立てる。油の機嫌は鍋の洗い方でも違ってくる」と話す。
家庭でうまく揚げるコツを聞くと、温度は165~175度、あらかじめ卵を溶いて水と混ぜておき、揚げる直前に小麦粉をさくっと混ぜて衣を作ること、鍋に1度にたくさん入れすぎないことだと教えてくれた。
店には夫妻が財産だと言う色紙がある。「リチウム電池を発明した福田雅太郎さん(豊中市在住)が毎年、店の誕生日に手描きの色紙をプレゼントしてくれる」と、うれしそうだった。
ランチの天ぷらミニコースはエビ2匹、魚、野菜7種類の天ぷらに、小鉢、ご飯、みそ汁、デザートが付いて1260円。天ぷらには抹茶塩と天つゆが付いてくる。天ぷらと刺身がセットになった天舞定食840円も人気がある。夜は天ぷらコース(3000円~)や季節の一品料理などもある。(進藤郁美)
更新日時 2012/02/29