2人で150歳のおふくろの味 蝶六
豊中市本町1、市立大池小学校の隣に「蝶六(ちょうろく)」がある。「2人合わせて150歳」と笑顔を見せる姉の岸本洋子さん、妹の花山千鶴子さんが、昼におふくろの味を食べさせてくれる食事どころだ。2007年に、岸本さんの息子、隆嗣さんが開店させた。夜は隆嗣さんが切り盛りする居酒屋になる。
「現在は銀行になっている豊中駅前に戦前、祖父が経営する料理屋があった。祖父が喜劇俳優、曾我廼家(そがのや)蝶六さんのごひいきだった。そこから店名は蝶六に」と岸本さん。「幼少のころ、祖父の店の板場に行っては、じーっと料理を作るのを見ていた」と言い、姉妹が作る料理の原点になっている。
おふくろの味は日替わり定食のみ。前日に2人で買い出しに行き、仕込む。朝8時から調理を始める。「冷凍は使わず、料理にもダシにもこだわっています。お客さんに出すものやから1品1品、丁寧に作っています」と話す。立ちっ放しの仕事については「お客さんと話すのが楽しくて、張り切ってるから大丈夫。営業が終わったら『あ~しんど』となるけれど……」と笑った。
そんな姉妹を「めちゃ可愛いお母さん」と慕っているのは、ビストロ疋田(本町4)の疋田恒朗さん。毎日でも食べたい昼ご飯だと話す。1番のお気に入りは「牛ミンチやタマネギを炒めたものを包みこんだオムレツ」。子どものころ、母親に食べさせてもらったような味で、懐かしいという。「マヨネーズとソースを混ぜてドロソースみたいにして、ご飯と一緒に食べるのが大好きなんです」と、人気シェフから意外な言葉が出た。
定食は料理3品にご飯、みそ汁、香の物が付いて780円。取材日は疋田さんが好きなオムレツ、ブリの照り焼き、切り干しダイコンだった。
(進藤郁美)
更新日時 2011/10/05