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編集長のズボラ料理⑳マグロのバルサミコ焼き

カイワレを添えると色のコントラストが良い

 和歌山県の南、JR紀伊勝浦駅で降りると、駅前に足湯があった。足をつけてあたりを見回すと、「マグロ」の文字がやたらと目につく。さすが、マグロの水揚げ港だと感心していた時、隣で足を暖めていた人に、前の店からマグロまんじゅうが届いた。出前サービスだった。
 僕も便乗した。豚まんの具の代わりに、マグロ身をつぶして煮付けたものを詰めた「マグロまん」だった。まあ、豚まんの方がおいしい。しかも、具を湯の中に落としたので、良い印象は残っていない。さすがに具は泳がなかったので、ほかの人に迷惑をかけることはなかったが、さりげなくすくい取ってポイした。
 足湯を出て、マグロうどんも食べた。熱いきつねうどんの上に、マグロの刺し身が6枚乗っていた。最初は中が赤く、しゃぶしゃぶのようだが、次第に熱が通り、白くなっていく。まあ、きつねうどんだけの方が良いような気がする。
 所変わって高松市。ある日、行き付けの小料理店「活」に顔を出すと、大将が怒っている。香川県の観光キャンペーンがあり、旅行会社の人たちを招いて立食パーティーが開かれた。そのメニューにマグロの刺し身があったそうだ。大将はそれが気に入らない。香川県ではマグロが獲れないからだ。僕はマグロが好きだが、大将の怒りに押され、「マグロなんて」と、ついうそをついてしまった。
 所変わって今度は大阪。毎日新聞の同期入社の男で、大のマグロ好きがいる。久しぶりに会ったので、昼食に安いすし屋に行き、サービス定食を腹におさめた。しかしもの足りない。すしの激戦区、大阪市・天神橋商店街に足を伸ばした。2人の間で取り決めをした。「マグロを食べよう」。要は安いからだ。春駒、すし政、奴寿司と回って、マグロのすしをつまみにビールを2人で1本ずつ飲んだ。昼食にすし屋4軒。ようやるわ。
 大阪市・北新地には値のはる店が多いが、昼はお得なメニューがある。ある小料理店で、マグロ丼を食べた。たれに驚いた。ドミグラスソースがかけてあった。マグロは融通がきくのだと知った。
 マグロの刺し身にバルサミコをつけ、フライパンで焼く。油は使わない。それだけなのだが、バルサミコの力でちょっと変わった照り焼きになる。まあ、刺し身の方が無難で、たまには目先を変えてみる、といった程度だが。 (梶川伸)

マグロまんじゅう

更新日時 2011/09/21


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