タレが自慢の伝統料理 うなぎのたかお
生まれ育った福岡県柳川市の伝統料理を知ってもらおうと、大渕征輝さんが池田市旭丘1の自宅で1990年、ウナギのせいろ蒸し専門店「うなぎのたかお」を始めた。1人息子、貴生さんの名前を店名にし、自宅1階の6畳と8畳の座敷にテーブルを置いてスタートさせた。
征輝さんは大阪市中央卸売市場でマグロの仲買人をしていた。転身したきっかけを、「大阪でウナギのせいろ蒸しを食べさせてくれる店がなかった」と話す。「柳川で祖父が使っていたタレがあってね、80年もの。なんといってもタレが1番大事。タレも人と同じように呼吸し、生きている」と征輝さん。祖父のタレに、醤油、砂糖、みりん、水あめ、酒で作ったタレを継ぎ足して使っている。
せいろ蒸しは「炊いたご飯にタレをまぶし、なじませるため常温で冷ます。冷ましたご飯をせいろに詰め、タレに漬けて焼き上げたウナギをせいろのご飯にのせ、5~7分蒸す」と作り方を説明する。夏、特に土用の丑(うし)の日は、厨房は蒸し風呂状態になる。「1日中、焼きっぱなし、蒸しっぱなし、汗もかきっぱなし」と笑っていた。
2010年春からは貴生さんが店を手伝う。貴生さんはJリーグ、ヴィッセル神戸のチームマネージャーをしていた。玄関には退社時に、チームのメンバーがサインしてくれたユニホームが飾ってある。「背番号20は店が20周年だったから」と貴生さん。「息子のつながりで、ヴィッセル神戸やガンバ大阪の選手が店へ来てくれるのはうれしい」と征輝さんは目じりを下げた。
ウナギの仕入れ値は、開店時と比べると2倍以上も高くなっているが、値段は据え置いたまま。その理由を「一時しのぎの利益追求はあかん」と征輝さん。せいろ蒸しは肝吸い、漬物、小鉢が付いて2000円。
(進藤郁美)
更新日時 2011/08/24