このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(272) ハモの子の玉子とじ

ミツバの代わりに大葉でも良い

 淡路島の1番南に、休暇村南淡路がある。しばしば遍路旅の宿にする。
 ここの楽しみの1つは、温泉から見る夕陽だ。数年前の7月、湯船でノンビリと夕陽が落ちるのを見ていたら、同じようにノンビリと夕陽を見ている人がいた。しばらくして目が合ってビックリ、毎日新聞時代の後輩だった。
 一緒に夕後を食べて、昔話をしたかったが、僕は先達(案内人)なので、それは無理な話だった。参加者と一緒にバイキングの料理を食べていると、後輩夫妻がそばを通って、奥まった場所の席についた。
 2つ目は、食後の天体観測。屋上天体望遠鏡を順番にのぞきながら、説明を聞く。その7月は、昼間の好天が夜まで続き、絶好の観測日和だった。望遠鏡で土星を見て、肉眼ではベガ、デネブ、アルタイルを見上げながら、夏の大三角形の説明を受けた。
 3つ目はハモ料理だ。きっと後輩は、ハモのフルコースを食べたに違いない。彼はグルメだから、次に会った時は、その日のハモを自慢して、「1度食べてみたら」と言うはずだ。
 そう思うと。ムラムラと対抗心がわいてきた。先手必勝、先輩も必勝。友人と後日、そのハモに挑戦した。泊りではなく、ハモ料理だけを食べに行ったので、執念である。高かったけど。
 ハモ豆腐、ハモゆば、湯引き、焼き霜、あらい、照り焼き、ハモすき、てんぷら……。堪能した。もう食べに来なくていい。後輩と同列になったし。食べ終わった時にそう思った。しかも高いし。
 ハモづくしに中に、ハモの子の玉子とじがあっただろうか。どうしても思い出せない。その後、後輩と会っていないので、全部の料理を覚えておく必要はないのだが、どうも気になる。後輩とまたどこかの温泉で偶然会って、ハモが話題になったらどうしよう。
 自宅近くのスーパーで、ハモの子を売っていた。ハモの身は最近よく見かけるが、子は珍しいので買った。ハモの子は食べやすく切っておく。ミツバをざっくり切っておく。鍋にだしをとり、砂糖、みりん、薄口しょうゆで味をつける。だし汁がほぼなくなったら、ミツバを加え、溶き卵を流し入れてとじる。これだけなら、安いものだ。それに、もう後輩に出会っても大丈夫。(梶川伸)2017.08.10

更新日時 2017/08/10


関連地図情報

関連リンク