編集長のズボラ料理(867) 鯛のなめろう
酒のあては、なめろうにするものだ。酒好きの通は。
僕がそうだというわけではない。小料理屋さんや居酒屋さんを訪ねるテレビ番組を見ると、酒に目のない人がうれしそうに頼んでいるではないか。
僕は酒が好きだが、通ではないので、あまり食べたことはない。最近では、大衆的なすし居酒屋さん「さしす」に初めて入った時に、なめろうがあったので注文した。ノリに乗せて食べる方式で、「へェー」と思ったが、これがオーソドックススタイルなのかどうかの知らない。あまり食べた経験がないからだ。
その前の記憶となると、10年近く前となる。弟に誘われて、東京・勝どきの居酒屋さん「やまき」に行った。弟の行きつけの店のようで、まず貝の盛り合わせを注文した。その次が、アジのなめろうだった。魚介類中心の店では、なめろうは頼むべきものだと知った。
なめろうは青魚を使うようだが、今回は鯛にしてみた。それには理由がある。
僕の最近のトレンドは、鯛の昆布茶じめである(ズボラ料理668回)。スーパーで刺し身用の鯛の短冊は、よく特売をしている。それを見つけると買う。たいてい身はやや小型で、背と腹の部分がセットになっている。
家に帰って、昆布茶をまぶし、ラップに包む。そしてしばらく置く。
その時に、気づく。背の尾に近い方は幅が狭くなる。昆布茶じめの見栄えを良くするために、その部分は切り取る。腹はというと、尾に近い方は細いうえに薄いので、かなりの部分を切り取る。安いから小型の身で当たり前なのだが、「よく見て買えばよかった」と思ってしまうのは、欲張りのせいである。
切り落とした部分をまな板の上で小さく切る。細ネギ、ミョウガ、木の芽、大葉も小さく切る。みそ、みりんと白だし少々も加えて、みんな一緒に包丁でカットしながら混ぜる。
これで、昆布茶じめとなめろうの2種類。やっぱり、安いのはいい。
テレビでは、酒に目のない人がうれしそうになめろうを注文する。僕の場合は、友人が言う。酒のキャップをうれしそうに開ける、と。酒の通と、単なる酒好きの違いが、そこにある。(梶川伸)2026.04.27
更新日時 2026/04/27