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二人三脚で37年 寿し善 

吉岡治さん(右)と「びっくり海鮮ちらし」を持つ秀子さん

 寡黙な主人と、多弁な女将。池田市井口堂の寿し善は、吉岡治さん(61)と秀子さん(61)の対照的な夫婦が営んでいる。

 店を出したのは1973年。「7月に娘が生まれて、9月に店を出したから本当に忙しくて。当時はPCB問題で生魚を食べない風潮があったので、しばらくは大変でした」と秀子さん。寝る間も惜しんで働いたことで、5年目あたりから経営も軌道に乗り、一時はアルバイトを含めて20人を雇うほどに繁盛した。

 池田市内からだけでなく、豊中や川西からも常連客がやって来る。その中には100歳と96歳の老夫婦もいるというから驚きだ。その2人のためににぎる寿司は、指先ほどの大きさの特別製。入院した治さんの母ににぎったのが最初だという。

 最近は回転寿司屋の台頭もあり、かつてほどの勢いがなくなった。新規の客を取り込まなければと、約1年前に昼のサービスランチとして「びっくり海鮮ちらし」を出した。

 マグロ、タコ、ハモ、ウニ、エビなど、10種類以上のネタが、おけ一杯に散りばめられた彩り豊かなちらし寿司は、具だくさんの豚汁まで付いて850円。まさに、びっくりな内容だ。「これを食べた方が夜にも来てくれれば」と、採算を度外視して提供している。

 夜は寿司はもちろん、鍋料理も自慢の品。特に10月下旬から提供されるフグは「他の店には負けません!」とのこと。

 秀子さんから話を聞く間、黙々と寿司をにぎっていた治さん。2人並んでの写真撮影も「俺はいいよ」と遠慮していたが、秀子さんに引っ張られる形でレンズに笑顔を見せてくれた。

 「ここまでやってこられたのは全部お客さんのおかげ。あと3年で40周年なので、それまではなんとか頑張りたい」と話す秀子さんを、治さんは穏やかに見守る。(礒野健一)

【寿し善】池田市井口堂2-7-16▽11時~22時(ランチは14時まで)▽電話072-762-6570
=地域密着新マチゴト豊中・池田」第4号(2010年9月9日)

寿し善

更新日時 2010/09/09


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