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大腸がんをテーマに地域健康フォーラム 3月30日と4月27日◆定員になり申し込みは締め切りました

 マチゴトは医療の専門家を囲んで、身近な健康に関する理解を深める「地域健康フォーラム」を毎月開いている。1月は乳がん、2月は胃がんに関するフォーラムを開いた。3月と4月は2回連続で大腸がんをテーマにする。◆定員になり、申し込みを締め切りました。
 3月30日(土)に山本克己・市立豊中病院消化器内科医長を、4月27日(土)に森田俊治・市立豊中病院外科部長を迎え、豊中市玉井町1、とよなか男女共同参画推進センター「すてっぷ」で午前10時から開催する。少人数の参加者が車座になって専門医の話を聞き、基礎知識から最新治療について直接質問することができる。
 大腸がんの患者数は食生活の欧米化とともに急増傾向にあり、毎年10万人以上が新たにかかっている。がんの中では男女とも2番目に多く、2020年には男女合わせて最も多くなるとみられている。(早川方子)

◇3月30日 山本克己・市立豊中病院消化器内科医長
◆大腸がんESD
 山本さんは大腸内視鏡によるESD治療の専門医である。ESDとは、内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術の略称で、大腸内部にできたがんをお尻から入れた内視鏡を使って切除する新しい技術のこと。従来から内視鏡による切除は行われていたが、これまではいぼのように盛り上がったポリープやがんだけが切除の対象だった。一方、ESDは従来は切り取れなかった大きな腫瘍も浮き上がらせて、切除できる。2012年4月から、一部保険が適用されている。

◆独自の技法を開発
 大腸がんESDは高度な技術が必要だ。大腸は形状が複雑で、腸壁が胃などに比べ薄いことから、治療時や治療後、腸に穴のあく穿孔(せんこう)などの危険性が高い。しかし山本さんは独自の技法「Clipフラップ法」を開発、治療成績のアップに成功している。Clipフラップ法は、幅1ミリほどの小さなクリップで切り取ろうとするがんの周りの粘膜を挟み、内視鏡の先端をクリップの下に潜り込ませて視野を確保しながら切除する方法だ。手探りに近い状態で切除していた従来の方法に比べて安全性が高まった。山本さんは「Clipフラップ法も技術が必要なのは変わらないが、術野が見やすくなり、以前より安定した手技ができるようになった」と話している。
 現在もさらに安全性確保のための開発や研究を進めている。

◆山本克己さん 大阪大学大学院医学系研究科修了。医師を目指したきっかけは「幼少のころは病気がちだったため、病院が身近な存在だった」から。小学生の時に虫垂炎で入院し、医師という職業にますます親近感を抱くようになった。黄熱
病の研究で知られる野口英世の伝記を読み、同じ11月9日生まれであると知ったことも「子ども心に運命を感じてしまった」と照れ笑い。

◇4月27日 森田俊治・市立豊中病院外科部長
◆腹腔鏡手術
 大腸の内側の粘膜にとどまっている早期のがんは肛門から入れる内視鏡を使って切除することができるが、もう少し進行したがんの場合は外科手術によってがんを切除する必要がある。外科手術には、大きくお腹を切る開腹手術と、お腹に数カ所穴をあけて、そこから腹腔(ふくくう)鏡という器具を入れてがんを切除する腹腔鏡手術がある。従来からある開腹手術に対し、近年全国的に増えている腹腔鏡手術の最大の特徴は、患者さんの負担が小さいことだ。
 森田さんは「患者さんの病状を見て可能であれば腹腔鏡手術を選ぶ」と話す。2012年、市立豊中病院では大腸がん手術の63%が腹腔鏡を使ったものだった。傷が小さいため術後の痛みが軽い腹腔鏡手術を希望する患者が増えていることに加え、医学的にも当初は早期がんだけが腹腔鏡手術対象だったのに、近年は進行がんも対象になるなど適用範囲が増えていることが増加の背景にあるそうだ。

◆術後に行う抗がん剤治療
 通常、手術でがんを切除した後は、抗がん剤の投与が行われる。「手術したのに抗がん剤?」と思うが、手術で見えるがんは切り取れても、体内には微細な見えないがんが残っている可能性がある。これを薬で叩くわけだ。「術後補助化学療法」という。
 大腸がんに対する抗がん剤治療は最近約10年で大きく進歩した分野だが、森田さんは大阪大学の関連病院による共同研究に参加し、よりよい抗がん剤の組み合わせを開発するなど、治療法の改良にも積極的に関わっている。

◆森田俊治さん 大阪大学医学部卒。八尾市立病院を経て、現在は市立豊中病院外科部長。サラリーマン家庭で育ったが、「親とは違う職業につこう」と医学の道へ。「ぼくは受験に失敗して浪人した経験もあるし、決して器用ではない。地道にコツコツと努力を積み重ねるタイプ」と話す。多い時には1週間に8件の大腸がん手術に携わる。
◆定員になり申し込みを締め切りました。ありがとうございました。◆
【主催】 毎日新聞ローカル、毎日新聞社
【開催日】 3月30日(土)、4月27日(土)
【時間】10時 ~11時30分 (9時30分から受け付け)
【受講料】 無料(要申し込み) 【定員】 20人
【会場】 豊中市玉井町1-1-1、とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ
    (阪急豊中駅直結、エトレとよなか5階)
【申し込み方法】
①名前②年齢③性別④住所⑤電話番号⑥がんに関する質問を明記し、ファクス(06-6346-8256)かハガキ(〒530-8251 大阪市北区梅田3-4-5 毎日新聞ローカル「マチゴト編集部」)、またはメール(info-toyonakaikeda@machigoto.jp)で申し込みを。電話(06-6346-8255)でも受け付けます。

更新日時 2013/03/12


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