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マチゴト地域健康フォーラム 「健康長寿のアドバイス~老いない技術を知ろう~」 12月7日開催

南谷哲司・南谷クリニック副院長。京都府立医科大学卒業。整形外科学会専門医、日本体育協会公認スポーツドクター。Jリーグ京都サンガFCのチームドクターも務め、試合にも同行。自身も大学のOBチームで、50歳を超えた今もサッカーをする。

 日本人の平均寿命は、男性が79.94歳で世界第5位、女性は86.41歳で世界1位だ(厚生労働省調査、2012年)。しかし、平均寿命の伸びは、必ずしも健康寿命の伸びと同義ではない。誰にでも訪れる「老い」が健康な生活を阻害し、できなくなることが増えていけば、その長寿は楽しいものではなくなってしまう。
 医療法人南谷継風会・南谷クリニック(豊中市岡町北1)の南谷哲司副院長は、「人の老化を防ぐことは不可能だが、いくつかのポイントを抑えることで、老化を遅らせ、高齢でも健康で充実した生活を送ることは十分に可能」と話す。マチゴトは南谷さんを講師に招き、日常生活の中から始める「老いない技術」をテーマとした地域健康フォーラムを、12月7日午前10時から、とよなか男女共同参画推進センター・すてっぷ(豊中市玉井町1)で開催する。(礒野健一)

 ◇元気で長生きの10か条

 誰もが願う健康と長寿を、どのように実現するか。南谷さんが、そのヒントを紹介してくれた。「私の大学の先輩に当たる、東京都リハビリテーション病院院長の林泰史先生が書いた『老いない技術』(祥伝社)には、『元気で長生きの10か条』というものが載っている(下図参照)。これを参考に生活を考えるのは有用」と話す。
 ①に挙げられている血清アルブミンは、血液中に最も多く含まれているタンパク質だ。肉類はコレステロール値が上がりやすいので、健康のために食べないという人も多いが、肉を食べずに血清アルブミン値が減少すると、肝機能障害や膠原(こうげん)病、関節リウマチなどを引き起こす。「どんなものでも、大事なのはバランス。ストレスだって、まったくない状態では生活力が低下してしまう」と警告する。

 ◇腹8分目で発動する長寿遺伝子

 お腹いっぱいおいしいものを食べたい欲求は、多くの人が抗えないものだ。そして食に困ることがない今の日本では、その欲求を満たすことは、さほど難しくない。しかし、それが肥満につながり、さまざまな成人病を誘発する原因となっている。南谷さんは、「昔から食事は腹8分目を良しとすると言われるが、それは科学的にも理にかなったもの」と説明する。
 「動物は基本的に飢えている状態が日常。その飢餓状態でしっかりと動き、子孫を残すために発動するのが、長寿遺伝子とも呼ばれているサーチュイン遺伝子。ラットを使った実験では、餌を十分に与えた飽食グループよりも、半分ほどしか与えなかった飢餓グループの方が、約1.5倍も長生きした。人間だって食べ物に困らなくなったのは、せいぜい100年ぐらい。サーチュイン遺伝子を活性化すれば、その効果は表れる」。
 2013年8月には、国立遺伝子学研究所の小林武彦教授のグループが、サーチュイン遺伝子が、ある遺伝子の数を一定に保ち、DNAの欠損や劣化を防ぐため、長寿に寄与しているという研究結果を発表している。

 ◇NEAT(ニート)を心がけよう

 「とはいえ、通常の食事量を2割減らすのは、数字以上に大変」と、南谷さんは言う。今は低カロリーで味も良い健康メニューも数多く紹介されているが、高齢になれば基礎代謝量も減るため、簡単ではない。
 そこで掲げるのがニートだ。学ばず働かずのニートではなく、 Non-Exercise Activity Thermogenesis(非運動性活動熱発生)の略で、日常生活の中にちょとした運動を盛り込み、消費カロリー量を高める活動のことだ。少しなら階段を使う、電車で座らないといった、家事や通勤の合間にできることを継続する。南谷さんは「それを、家族や友人に公言することで、効果も上がる」と強調する。「他人も知っているというプレッシャーが、甘えを断つと同時に、達成感も与えてくれる」。
 12月7日のフォーラムでは、取り入れやすいニートや、元気で長生きの10か条の詳細について紹介。

◆元気で長生きの10か条◆
①血清アルブミン値が高い
②血清総コレステロール値は高すぎず低すぎず
③足が丈夫である
④主観的健康感がよい
⑤短期の記憶力がよい
⑥太り方は中くらい
⑦タバコを吸わない
⑧お酒は飲み過ぎない
⑨血圧は高すぎず低すぎず
⑩社会参加が活発である
(東京都老人総合研究所「サクセスフルエイジングをめざして」より)

【主催】 毎日新聞ローカル
【日時】12月7日(土)午前10時~11時30分 (午前9時30分から受け付け)
【受講料】 無料(要申し込み)
【定員】25人(先着順)
【会場】豊中市玉井町1-1-1、とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ(豊中駅直結、エトレとよなか5階)
【申し込み方法】①名前②年齢③性別④住所⑤電話番号⑥質問を明記し、ファクス(06-6346-8256)か、はがき(〒530-8251 大阪市北区梅田3-4-5 毎日新聞ローカル「マチゴト編集部 地域健康フォーラム係」)、またはメール(info-toyonakaikeda@machigoto.jp)で申し込みを。電話(06-6346-8255=平日の昼間)でも受け付けます。

更新日時 2013/11/14


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