一途に窯焼き ナポリピッツァ パンチャ ピエーナ
でかっ！ 大きさに驚く。特大の焼き立てピッツァを食べさせてくれるのは、窯焼きナポリピッツァの店「ピッツェリア パンチャ ピエーナ」の前川哲也さん（４７）だ。ナポリピッツァ協会公認のピッツァ職人。生地の状態と、ナラの木のまきを燃やす窯の温度を計算しながら厨房に立っている。多い日は約１００枚。黙々と、無駄のない動きで焼き上げていく。大きさにこだわるのは「本物のナポリピッツァを知ってほしいから」。
３０歳までサラリーマン。「世の中にこんなにおいしい食べ物があったのか」。出張先で偶然食べた１枚のナポリピッツァが、それまでの安定した生活を一変させた。その時の感激は今でも忘れられない。「病気になったのはそこからです」。人生を再スタートさせるかのように、ピッツァざんまいの日々が始まった。
３３歳の時には、ナポリでピッツァを食べ歩いた。おいしい味を見つけると店主に頼み込み、そのまま居座って２年を過ごした。食事と寝る場所を与えてもらい、毎日夜中までピッツァを作った。半年間は無給だったが、本場のピッツァに触れていたかったという当時を、「まるで野良犬が転がるような状態だったが、楽しかった」と振り返る。
前川さんのピッツァは、直径約３０センチ、中心が薄く縁が厚い伝統的なナポリピッツァだ。水、小麦粉、塩、イーストで作った生地を、４５０～５００度の窯に入れて約９０秒、外はカリッと、中はもちもちの食感に焼き上げる。店内は、イタリアから週３回空輸するチーズと小麦粉が焼ける香りが漂っている。ピッツァは約３０種類。１枚１４００円から。テイクアウトもできる。
開店して２年半。おいしそうに食べる子どもの顔を見るのが何より嬉しいと言う前川さん。「家族でにぎやかに、お腹いっぱい食べてほしい」。「お腹いっぱい」という店名にはそんな願いが込められている。 （進藤郁美）
【ピッツェリア パンチャ ピエーナ】池田市栄本町１－１▽１１時半～１４時半（土日祝は１２時～１５時）、１７時半～２２時▽月曜休▽電話０７２－７５４－５５６４
＝地域密着新マチゴト豊中・池田」第２号（２０１０年８月１２日）
更新日時 2010/08/12
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