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北摂麺大使⑧ 池田市・弁慶 32年の歴史に幕

おかめうどん

 初訪問は4カ月前、取材で店のすぐ隣にある「弁慶の泉」を見に行った時だ。モチモチのうどんに鶏肉やキノコなどがたっぷり入った「おかめうどん」を食べながら、店主の藤田幸雄さんと2時間以上も話し込んだ。お代を払おうとすると「今日は楽しかったから、おごったるわ!」と言われ、ありがたくごちそうになり、その心意気にほれた。

 今回、改めて取材を申し込んだところ、6月26日を最後に閉店すると聞かされた。8月に71歳になる藤田さんは、「70になったら店を畳もうと決めてましてん」と笑う。1980年に開店してから32年、うどんもそばも、独学で味を高めてきた。素材はすべて池田の店から仕入れる。藤田さんは「何とかやってこられたのは、地元の人に可愛がってもらって、助けられてきたから。感謝の気持ちだけです」と言い、奥さんの邦子さん(実際の字は邦の左が上に突き抜けない)も「素人っぽいところが、逆に居心地の良さになったのかも」と話す。

 名店の味が楽しめるのもあと少し。「惜しまれてこそ華」と言うが、もっと早く行きたかったと心から思う。(礒野健一)

【弁慶】池田市豊島南2-2-2▽11時半~14時、17時~22時▽日曜定休▽072-762-2353

うどん そば

更新日時 2012/06/11


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