北摂麺大使⑥ 豊中市・錢形
阪急服部駅の西にある「錢形」は、うどん県、いや香川県観音寺市にルーツを持つ店だ。店主の合田元三さんが、34年前に開店した。「子どものころに食べたうどんを再現したかった。だからほとんど独学」という。今年で75歳というが、シャキッと元気だ。「健康だからうどんが打てるのか、うどんを打つから健康なのか、どっちやろな」と笑う。
僕の父も観音寺出身で、合田さんの高校の10年後輩だった。ただし合田さんは観音寺駅近くの繁華街、父は車で20分くらいかかる木之郷という場所。都会人なのである。それでもミニ八十八カ所のある母神山(はがみやま)や、駅うどんの話など、地元ネタで盛り上がった。
うどんはかなりコシが強く、僕の好みだ。「他店と比べてもハード。『古式さぬきうどん』なんて言われるよ」。名物は「キーマカレーうどん」(1000円)。「何か新しいものがほしい」と考えていたところ、本格インドカレーを食べて「これや!」とひらめいた。1時間かけて炒めた玉ネギとたっぷりのひき肉を、絶妙なスパイス加減で調える。和え麺(めん)のように食べ進め、余ったカレーは追加のごはんで最後までおいしく食べる。(礒野健一)
更新日時 2012/04/11