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阪大の先生⑤スワヒリ語専攻のかしまし3人娘

右から小森淳子さん、米田信子さん、竹村景子さん。写真撮影を頼むとアフリカの民族衣装を身にまとい、民族楽器を手に戻ってきた。「どんなポーズでいこ?」「衣装は下もはいた方がいい?」「楽器の位置は大丈夫?」とにぎやかだ

 大阪大学外国語学部スワヒリ語専攻には、「かしまし娘」がいる。小森淳子准教授、竹村景子准教授、米田信子教授の3人だ。雪の舞う箕面キャンパスでの取材は、3人に会ったとたん、アフリカのような明るく暑い雰囲気に包まれた。

 スワヒリ語は、アフリカ東海岸の国々で使われている言語で、タンザニア、ケニア、ウガンダでは公用語となっている。小森さん、竹村さんが学生だった80年代は、日本ではまだアフリカ文化をしっかり学べる環境はなかったという。「内戦、飢餓、サバンナの動物といった、ステレオタイプなイメージばかり。現地語の研究者もほとんどいなかった」と竹村さん。小森さんは「だから今も変な伝統や派閥みたいなのがない。講師の女性率が高いのも、その影響かな」と話す。

 米田さんは英文学科を卒業後、社会人を経て再入学した。「アフリカの音楽や絵画にひかれた」という。「私の方が年下やけど、先生になるねん」と竹村さんが言い、「仲いいでしょう」と笑い合う。

 3人ともアフリカは頻繁に訪れるが、初めは価値観の違いに戸惑うばかりだった。「人に何かをもらうという行為のボーダーが無いに等しい」という小森さんの言葉に2人もうなずく。お金はもちろん、帽子や電子機器など、目に付いたものをすぐに「これくれ、それくれ」と言ってくる。「とてもお世話になって大親友と思っていたのに、いきなりお金のことを言われてショックを受けたりもした。でも、無理とわかれば『そうなんだ』と流しておしまい。逆にこっちが『それ欲しい』と言ったら、大事な物でも『いいよ』と譲る。道で人とぶつかって謝ると、『ぶつかったくらいで怒る人間に見えるのか!』と怒られたり、本当に価値観が違う」

 それでも、はまると抜け出せない魅力がアフリカにはある、と口をそろえる。「笑ったり怒ったりガッカリしたりうれしかったり、感情の振り幅がとにかく極端。目まぐるしく変わる気持ちに疲れちゃうんだけど、それが楽しい」

 日本人のアフリカ観はステレオタイプのまま、偏見も残る。「サッカーW杯のカメルーンや、アフリカ出身タレントのおかげでブームにはなっても、深い理解にはつながらない。スワヒリ語専攻には毎年18人の学生が入る。彼らとアフリカ文化を伝える努力をしていかなければ」。それが3人の強い思いだ。(礒野健一)

大阪大学 スワヒリ語

更新日時 2012/02/29


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