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箕面街道をゆく②豊中駅~箕面市牧落

祈祷所の壁に現れたお迎えギツネ(2012年1月10日午後0時20分撮影)

 阪急豊中駅前の商店街を北東に300メートルほど歩くと、信号のある交差点に出る。石の道標が立っていて、「左 箕面街道」と彫られていて、櫻(桜)井谷村、内田、少路、野畑といった文字も読める。今回はここを起点にした。
 街道はバス道をいったん左手に外れるが、すぐにバス道に戻る。そこは、宇迦御魂神(うかのみたまのかみ)など3神をまつる豊中稲荷神社の裏側の参道になっている。神社の女性におもしろい話を聞いた。新年になると、祈祷(きとう)所の入り口の壁に、白いキツネが姿を見せるのだという。不思議な現象を、もっと詳しく聞かせてもらうと……。
 キツネが現れるのは、元日から1月20日ごろまでの晴天の日で、午後0時20分から10分間に限られる。神社の建物などと光線の関係で壁に影ができるが、光の当たった部分が明るく残り、それがキツネの形になる。
 取材翌日の1月8日、写真を撮りに行った。直前まで太陽が出ていたのだが、肝心の10分間は雲の中。9日は豊中駅では光が差していたのに、神社に向かうと太陽は雲の中に消えた。10日、3度目の正直で写真撮影ができた。
 12時15分ごろから、それらしい形が現れ、やがて耳ができ、両前足を腹の前で合わせて、参拝者を祈祷所へ招き入れるような格好に見える。
 神社の女性によると、3年前に参拝客が気づいたのだという。「キツネは神様のお使い。祈祷所の入り口なので、お迎えギツネと呼んでいるんですよ」と話す。「原因を調べてもらおう」という話もあったが、「調べない方がいいのではないか」という考えに落ち着いたそうだ。
 中国自動車道の下で、新旧の街道は合流する。やがて、千里川の高橋を渡る。そのあたりは、大阪府のアドプト・リバー制度(アドプトは養子の意味)によって、地域の人たちが美化活動をしている。川にはコイが泳ぎ、3段になった小さな堰(せき)が水音をたてている。川沿いの道は桜並木。休日のせいか、ジョギングなど川を楽しむ人たちが多かった。
 報恩寺のそばの落ち着いた家並みの中を通り、野畑庭球場というレトロな名前のテニスコート前を過ぎ、箕面市牧落に出た。ルートが分かりにくく、道を訪ねながらの街道歩きだった。(梶川伸)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」第35号(2002年2月2日)

豊中稲荷神社

更新日時 2012/01/10


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