心にしみる一言(292) 地震海鳴りほら津波
◇一言◇
地震海鳴りほら津波
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2017年に青森に行く機会があり、太平洋側の八戸市にも寄ってみた。東日本大震災から6年が過ぎていて、津波などの痕跡はほとんどなかった。
八戸ではタクシーに乗って、海岸沿いを走ってもらった。運転手さんによると、津波は最大高さ4メートルあったというが、犠牲者はわずかで、1人はいったん避難した後で戻り、津波に飲み込まれたという。運転手さんの家は床上浸水。3日間、避難所で生活したそうだ。
館鼻公園に案内された。ここは海に近いが高台になった公園で、さらにその上に展望台がある。震災の時には、この公園は避難場所になった。
公園には大きな石碑があり「地震海鳴りほら津波」の字が刻まれていた。1933年の昭和三陸地震の大津波の教訓だそうだ。地震が起きたら津波に注意するように呼び掛けている。
東日本大震災で、犠牲者が抑えられた理由の1つが、この言葉ではないかと思った。海のそばには保育園があり、みんな懸命に逃げたが、今は別に場所に移ったと、運転手さんが教えてくれた。(梶川伸)2021.03.07
更新日時 2021/03/07