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心にしみる一言(408) 車止めを外すのを忘れてた

安堵町のかかし

◇一言◇
 車止めを外すのを忘れれてた

◇本文◇
 遊び仲間で、奈良県安堵町の寺に行ったことがある。斑鳩町のJR法隆寺駅で待ち合わせ、バスに乗った。
 寺の案内にあった「東安堵東口」に行くのだが、どのバスに乗っていいのかわからない。すると、バスの運転手さんが来て、コミュニティバスに乗るように教えられ、乗り場も示してくれた。実は運転手さんが乗るバスだった。
 出発まで少し時間があった。乗客は私たち5人だけ。人なつっこい運転手さんでしきりと話しかけてきた。「どこから来たのか」と聞かれ、仲間の1人が兵庫県明石市と答えると、運転手さんは俄然、話が活発になった。
 徳島県に住んでいて、昔は明石から船に乗って徳島に行ったのだという。私も昔徳島に住んでいたことを告げると、互いの住んでいた場所のことや、甘い煮豆のお好み焼きのこと、小山助学館という本屋のことなど、ローカルな話題が続いた。
 出発時刻になり、運転手さんがバスを走ろせよううとしたが、どうも様子が変だった。すると、「忘れてた」と言って1度バスを降りたかと思うと、車止めを持って戻ってきた。話に夢中になって、はずすのを忘れていたという。みんなで大笑いをした。
 寺にJ参り、安堵町の町おこしでたくさん設置してあるかかしをみて、駅までバスで帰ると、またバスの運転手さんに会った。法隆寺へ行く予定だと話すと、「今バスが出たところ」と教えてくれ、次の出発時刻まで教えてくれた。どこまでも人なつっこい運転手さんだった。(梶川伸)2023.07.08

更新日時 2023/07/08


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