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心にしみる一言(260) 馬路村のユズは接ぎ木、北川村のユズは実生

北川村

◇一言◇
 馬路村のユズは接ぎ木、北川村のユズは実生

◇本文◇
 高知県馬路村はユズの産地として知られる。ユズ飲料「ごっくん馬路村」のCMで、その存在が知られるようになった。「にほんの里100選」に相名(あいな)という地区が指定されるなど、今では日本の原風景のような印象を持たれるようになった。
 遍路の際も、何度か馬路村温泉で宿をとった。ある時はホタルの時期で、宿の前の小川にで、ほのかな光を楽しむことができた。
 隣町に北川村がある。同じくユズの産地で3度泊まったことのある宿の名前も「北川温泉ゆずの里」で、大いにユズをアピールしている。しかし、県外にはあまり知られていない。
 馬路村へのライバル心は強いのであろう。支配人は上記の言葉で盛んにPRした。その言葉には、少し続きがあった。「……北川村のユズは実生(みしょう)なので、おいしい」
 接ぎ木と種から育てる実生では、どちらが良いユズが取れるのかは知らない。しかし、支配人は、実生が誇りなのだ。
 「ユズは日本1」とも聞いた。収穫量かと思ったら、「品質が」という答が返ってきた。少し時期が外れた時に泊まった時には、ユズを手づかみ1回10円の催しをしていた。
 夕食のデザートはユズプリン。土産物売り場では、丁寧に説明してくれた。塩を入れたユズ酢を売っていて、常温でも保存できるという。塩を入れてないものもあり、冷蔵庫に置いてあった。冷蔵庫で保存しないと、発酵が進んで破裂するのだそうだ。小さな村のユズにかける思いを感じる宿だった。(梶川伸)2020.09.24

更新日時 2020/09/24


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