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心にしみる一言(255) 大阪弁は口調に音楽が入っている

「世界の国からこんにちは」の歌詞

◇一言◇
 大阪弁は口調に音楽が入っている

◇本文◇
 「島田陽子さんの詩とうたの世界へ」と題した催しが、大阪府豊中市で開かれたことがる。島田さんは豊中市に住んだ詩人で、大阪万博(1970年)のテーマソング「世界の国からこんにちは」の作詞でも知られる。大阪言葉を大事にし、「おおさかことばあそびうた」などの詩集も残した。2011年4月18日に亡くなり、3回忌の年に当たる2013年に、島田さんをしのぶ集まりを開いたのだった。
 私は島田さんと全く縁がないが、知り合いから講演を頼まれた。大阪万博のテーマソングは毎日新聞が募集した。私が毎日新聞の記者だったこと、地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」の編集長をしていたことから、無理なこじつけの依頼だった。
 「万博と報道」と題して、形ばかりの話をした。1万3195点の応募の中から島田さんの作品が選ばれ賞金は100万円だったこと、詩ができたのが締め切り日だったことなどを、当時の新聞記事をもとに紹介。「こんにちは、世界、1970年、桜、握手といったシンプルな言葉を使った詩だが、そのことに力があり、万博の本質を突いていたので、心に残る歌になった」と考えを披露した。
 私の講演を除けば、内容の濃い催しだった。豊中紙芝居の会のメンバーが、「あいうえおおさか くいだおれ」「わたしが失ったのは」など、島田さんの詩4作品を朗読した。 最後は田中勉さん(バリトン)、田中友輝子さん(メゾ・ソプラノ)夫妻、高木洋子さん(ピアノ)が、「世界の国からこんにちは」のほか、島田さんの詩に曲をつけた歌曲を演奏した。田中さん夫妻は、創作歌曲の会「まほろば」のメンバーで、会に島田さんがいたことを話し、会員の中澤道子さんが作曲した「せぇてせかん」(急がしていないようで、実は急がしている、という内容の大阪弁の詩)も歌った。
 中澤さんも舞台に立ち、そこで取り上げた言葉を口にした。「大阪弁は口調に音楽が入っている。しかし、正確なイントネーションを知るために、大阪の呉服問屋の人に話してもらい、それを録音して作曲に役立てた」。そんなエピソードを披露した。(梶川伸)2020.00.04

更新日時 2020/09/04


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