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心にしみる一言(248) 野の花は私が描いてあげなければかわそう

美術館で買った紅子の本

◇一言◇
 野の花は私が描いてあげなければかわそう

◇本文◇
 取り上げた言葉は正確ではない。記憶をたどると、そんなニュアンスだった。
 遊び仲間と5年前、岩手県に行った。観光が主目的だが、宮沢賢治が好きな仲間がいて、その足跡をたどるのも目的だった。
 それとは別に、私は盛岡市で1カ所、行ってみたい場所があった。深沢紅子(こうこ)野の花美術館。紅子は水彩で野の花を描き続けた。その作品と紅子を紹介する小さな建物だった。
 水彩の透明感に、紅子の花に対する思いが重なって、どれも爽やかな作品になっている。会場にあった説明だったか、ビデオの中だったか覚えていないのだが、取り上げた言葉があった。野の花はあまり見向きもされなので、紅子は自分だけでも描いてあげようと思ったのだろう。
 ビデオを見ると、紅子は人を描くとき、その人の外面ではなく、気持ちを表現したいのだと話していた。きっと花についても同じことだったのだろう。(梶川伸)2020.07.26

更新日時 2020/07/26


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