心にしみる一言(242) お年寄りがいきがいを持ち、その結果として町が負担する医療費が少なくなった
◇一言◇
お年寄りがいきがいを持ち、その結果として町が負担する医療費が少なくなった
◇本文◇
前回は、お年寄りの生きがいと道の駅の関係だった。今回は、お年寄りの生きがいと医療費の関係を取り上げた。
遍路の途中、徳島県上勝町の月ヶ谷温泉・月の宿に泊まることがある。四国霊場の別格3番・慈眼寺が町内にあるからだ。
先達(案内人)として十数人を案内し、2007年にも月の宿に泊まった。すると夕食の席に、町長がわざわざ訪ねてきてくれた。私の遍路仲間が隣町の出身で、連絡を取ってくれていたのだった。
上勝町は「葉っぱビジネス」が有名だ。里山の葉や花を収穫し、料理の“つま”として出荷する。お年寄りが主役で、パソコンで注文を受けたり収穫する映像が何度も紹介された。町に新しい産業を築き、映画にもなった。
「いろどり」という会社組織で運営し、事務所が月の宿にある。葉っぱビジネスの話を、宿泊の機会に聞いてみたいものだと、遍路仲間に話していたので、町長の登場となった。
話ができたのは短い時間だったので、すぐさま葉っぱビジネスのことを聞き、印象に残ったのが、取り上げた言葉だった。正確には覚えていないのだが、自治体が負担する国民健康保険の医療費が県内で4番目に少ないと話していたと思う。
町長は熱心にはっ葉ビジネスをアピールした。何よりも、わずか十数人のためにでも出かけて話す熱意に感心した。葉っぱビジネス成功の裏に町の思いがあり、さらにその根底に町民の健康への構想があるような気がした。(梶川伸)2020.06.26
更新日時 2020/06/26