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心にしみる一言(241) 道の駅の売り上げで食べられる人はわずか。ほとんどは孫のための小遣いですよ。

日高川町を取り上げた記事

◇一言◇
 道の駅の売り上げで食べられる人はわずか。ほとんどは孫のための小遣いですよ。

◇本文◇
 平成の大合併の後、合併した自治体の「その後」を取材したことがある。和歌山県日高川町もその1つ。2005年のことだった。
 川辺町、中津村、美山村の1町2村が合併した。多方面にわたって取材したが、合併とは直接関係のない道の駅「Sanpin中津」が印象に残った。中津村時代に始まり、それを新しい町に引き継いだ。
 地元の農産物などが並び、人気がある道の駅だった。中津村長出身の日高川町長によると、人気の理由の1つが、農産物の種類が多いことだった。農協が経営するような産直の店は、旬の野菜がドーンと並ぶが、ここはチマチマといろいろ売られていた。
 背景には高齢化がある。当時、中津は高齢化率33%だった。道の駅への出品者はほとんどがお年寄り。大量生産ではない。「作る喜び、売れる喜びが、出品の大きな理由」だそうで、狭い農地で思い思いのものを作るので、種類が多くなる。
 道の駅の駅長は、さらにかみ砕いて教えてくれた。「耕作面積が狭い。家で食べるには少し余る。それを現金化している。高齢者の生きがい対策でもある」。そして取り上げた言葉につながる。さらに「種代だけ出たらいい、と言う人もいる」。
 前日の夕方、もしくは朝にとった野菜を、9割は作り手が運び込む。しかし「運び込めない人のために、土曜日に集めに回っている」と語り、町がお年寄りと道の駅の関係を重視していることがよく分かった。
(梶川伸)2020.06.22

更新日時 2020/06/22


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