寺の花ものがたり(240) 永観堂(京都市左京区)青紅葉=5月~6月
永観堂は紅葉の名所として知られる。京都には紅葉の寺は数多いが、清水寺や東福寺、嵯峨野の寺と並び、代表格の1つとなっている。
境内のモミジの木は3000とも言われる。秋に訪ねたこともあるが、大変な人だった。
木の数も多いので、初夏の青紅葉も美しく清々しい。とは言っても、その時期に訪ねたのは1回しかない。
短歌を作る友人に頼まれ、京都を案内した時だった。京都市上京区の般舟院陵に行きたいという。目的は陵の横の「式子内親王塚(のりこないしんのうのつか)」だった。後白河天皇第3皇女式子内親王の墓所と伝わっている。歌の題材にしたかったのだろう。
時間に余裕があったので哲学の道を歩いた。永観堂には行ったことがないというので、参拝することにした。中に入ると、この時期も人は多かった。
堂宇や方丈池の周りは、青紅葉に包まれていた。特に池のそばは紫陽花(あじさい)も咲き、初夏に赤くなるモミジの木もあり、爽やかな緑の空間に色を添えていて、見とれてしまった。ただ、友人は本尊のみかえり阿弥陀の方にひかれたようだったが。
◇永観堂(えいかんどう)◇
正式には禅林寺(ぜんりんじ)。永観堂は通称で、第7世永観律師にちなむ。京都市左京区永観堂町48。京都駅から京都市バス5系統で南禅寺永観堂道下車、徒歩3分。地下鉄蹴上駅下車、徒歩15分。本尊のみかえり阿弥陀像は重文。創建は863年。拝観有料。
更新日時 2020/06/03