寺の花ものがたり(285) 常楽寺(徳島市)桜=3月下旬~4月上旬
四国の遍路は10回あまり経験したが、桜の時期は心がウキウキする。歩くには春が心地よく、春の象徴は桜だから、遍路と桜とは最適な組み合わせといえる。
徳島市の14番・常楽寺は、私の好きな札所の1つとなっている。四国88カ所創建1200年とされた年に参拝した時は、桜のピークだった。
阿波の青石が境内に露出していて、その上に本堂が建つ。どこか野趣に富んでいるが、青石のせいで美しさもあり、雨に濡れた青はしっとりした風情を増す。
池に沿って歩くと、寺に着く。池のほとりには桜の木が並ぶ。境内には、修行大師の像が立っている。バックは桜。光背のように、大師を包んでいた。
1200年記念で、本堂の本尊が安置された厨子(ずし)の扉が開けてあった。本尊は、弥勒菩薩。黒くすすけた小さな像で、遠目と暗さではっきりとしなかったが、金色の光背だけがよく見えた。
宿は神山町にとっていた。神山町は枝垂れ桜の町を目指している。白が勝った上品な枝垂れで、町内にたくさん植えてある。まだ若い木が多いが、ここでも春の遍路を満喫した。
◇常楽寺(じょうらくじ)◇
徳島県国府町延命606。JR徳島線府中駅から徒歩3キロ、徳島バス常楽寺前下車、徒歩300メートル。088-642-0471。本尊は弥勒菩薩。弘法大師42歳の時、秘法の修行中に弥勒菩薩が来迎、感得して堂宇を建てたとされる。境内自由。
(梶川伸)=状況が変わっていることもありますので、ご了承ください。2022.03.21
更新日時 2022/03/21