寺の花ものがたり(290) 王龍寺(奈良市)青紅葉=5月初旬~7月初旬
王龍寺を訪ねたのは2度目だった。最初は30年ほど前。奈良市にありながら、山の中の寺というイメージだけが残っている。
今回はバイクで行った。記憶を頼りに向かい、バスが通る幹線道路を走っていると、王龍寺への石の道標を見つけ、山へと入って行った。昔の参道のようで、細い道になり行き止まりになるなど、迷いながら登っていくと、車も走る道に出て一安心。
念のため、出会った人に道を聞いた。ほどなくして山門。ただし、王龍寺の文字が見えない。運よく参拝者がいて、王龍寺だということ確認した。山門からは、コジイの生い茂った参道が上へと続いていた。参道は見ていると、参拝者が「バイクでもっと上まで行けますよ」と教えてくれた。
さらに走ると、本堂のそばに着いた。頭の上を、緑が覆っている。イロハモミジの木も多く、青紅葉の天井になっていた。
本堂も青紅葉の中にあった。静かな境内。参拝者は他に1人いるだけだった。軽く会釈するだけで、また静寂。
本堂の正面には石段があった。山門から歩けば、緑の中を進み、最後はこの石段を登るのだろう。石段を少し下りて、そこから本堂を見上げた。登ってきて本堂が見えた時の感触を少しだけでも味わおうと思って。
◇王龍寺(お」うりゅうじ)◇
奈良市二名6-149。近鉄奈良線・富雄駅下車、奈良交通バスで杵築橋下車、徒歩30分。0742-45-0616。黄檗(おうばく)宗の寺。寺の伝説では聖武天皇の勅願による古刹とされている。現在の黄檗宗の寺院としては江戸時代になってからのこと。境内自由。
=状況が変わっていることもありますので、ご了承ください。(梶川伸)2022.06.26
更新日時 2022/06/26