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心にしみる一言(235) 遊山箱をモデルにしました

「四国まんなか1000年ものがたり」の遊山箱弁当

◇一言◇
 遊山箱をモデルにしました

◇本文◇
 高松市で仕事をしていた時からの友人が、JR四国の観光列車「四国まんなか1000年ものがたり」に誘ってくれたことがる。
 香川県多度津町の多度津駅から、徳島県三好市の大歩危(おおぼけ)駅の間をゆっくり走る。途中のいくつかの駅で止まり、買い物や写真撮影をして楽しむ。
 車内の楽しみは食事。その日の弁当は、徳島の子どもの遊びに使われる遊山箱(ゆざんばこ)をモデルにしたものだと、説明があった。
 遊山箱は子ども同士が遊びに行く時用の携帯用重箱で、持ちやすいようにケースに入っている。小さな重箱には、巻きずしやエビ、揚げ物や酢の物などが、少しずつ押しくらまんじゅうのように入っていた。
 これは子ども用ではなく、大人の遊びの弁当だった。弁当を作った料理屋さんは線路からそう遠くはない。列車でそのあたりを通った時、店の主人が遠くで手を振っていたのも、うれしい趣向だった。
 実はもう1カ所、印象深い遊山箱がある。遍路の途中、徳島県勝浦町で泊まったことがある。廃校になった小学校を活用した施設だった。ちょうどひな祭り時期で、宿の人に教えてもらって、森山家という旧家のひな飾りを見せてもらった。
 よく手入れされた庭に、たくさんの人形が絵物語のように並べてあった。「遊山」とい名付けられた情景だった。子どもたちだけで山に行き、重箱を開けて遊んでいる様子が繰り広げられていた。
 そのあたりの遊びであり、風習らしい。重箱は3重で、遊山箱と呼ぶことも教えてもらった。列車の中で弁当を食べながら、森本家の子どもの人形と自分を、重ね合わせていた。(梶川伸)

更新日時 2020/05/22


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