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寺の花ものがたり(236) 慈眼寺(徳島県上勝町)牡丹=5月前半

2014年5月10日撮影

 徳島県上勝町に、四国遍路の別格3番慈眼寺がある。空海が修行したとされる洞窟があり、穴禅定と呼ばれる。奥行きは100メートルほどで、それを往復するだけだが、通路がとてつもなく狭く、難儀をする。体をくねらせ、はいつくばるので、体験した人の中には、「遍路で1番印象に残った」という人が結構多い
 寺は標高600メートルの場所にある。遍路では本堂、大師堂の順で参拝し、般若心経を唱える。この寺は着いたところが大師堂で、そこから10分ほど急な坂道を登ると本堂と穴禅定がある。
 大師堂のそばには牡丹(ぼたん)園がある。何度か参拝したが、1度だけ満開の時期に行き合わせた。白、赤、紫、ピンクなどの花が密集して植えてある。藤棚もあり、それほど長くはないが、花の房を下げていた。穴禅定への道には、石楠花(しゃくなげ)や躑躅(つつじ)も見かける
 5月は花の良い時期だが、やがてその印象が薄れる。穴禅定のインパクトが強いからだ。その時、穴禅定に入った私たちのグループは14人。先達の女性の指図のままに体を動かして進んでいくが、3人がなかなか抜けられず、全員が出てくるまで1時間40分もかかってしまった。

◇慈眼寺(じげんじ)◇
 徳島県勝浦郡上勝町大字正木灌頂瀧18。徳島駅から車で1時間15分。0885-45-0044。平安時代初期に空海が創建したと伝えられている。四国88カ所20番鶴林寺の奥の院。本尊は十一面観音。境内自由。穴禅定は有料。
(梶川伸=状況が変わっていることもありますので、ご了承ください。)2020.05.04

更新日時 2020/05/04


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