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寺の花ものがたり(232) 醍醐寺(京都市伏見区)桜=3月下旬~4月上旬

2020年3月26日撮影

 醍醐寺は京都の代表的な桜の名所と言える。豊臣秀吉が慶長3年3月15日(1598年4月20日)、醍醐寺三宝院の裏で花見の宴を開いた。「醍醐の花見」の歴史に思いはせる人もいる。秀吉は近臣数百人を集め、権勢を誇った。しかし、その年に亡くなった。華やかさとはかなさを、桜に重ねる人もいる。
 15年振りに桜を訪ねて行くと、前回と同じ様に寺は桜に包まれていた。しかし、印象にの残ったのは、桜よりも伐採された樹木だった。伽藍エリアの山門をくぐると、五重塔までの参道の両側には、たくさんの切り株が並んでいた。2018年の台風21号でやられたらしい。
 前回の記憶で鮮明なのは、霊宝館前の枝垂(しだ)れ桜で、枝を横に広く枝を広げていた。今回も再会を願ったが、どうもそれらしいものが見当たらない。15年前のことだから、記憶違いかと思ったが、霊宝館の人に聞いてみた。「この桜ではないですか」と指し示した桜は確かに大きかったが、横への広がりが乏しいように感じた。近寄ってみると、太い枝が切り落とされている。ひょっとすると、これも台風の影響かと推測した。
 三宝院、伽藍、霊宝館の3ゾーンの拝観券は1500円と高い。もったいないので、じっくりと見た。枝垂れ桜は三宝院のものに感嘆する。境内に入って最初の大木でもあるからだろう。背は高く、満開前だったが花はボリュームがある。好天に恵まれ、淡いピンクの花が青空から降り注ぐ。
 五重塔の周りは桜の園になっていた。枝垂れも白とピンクがあり、塔と組み合わせを自ら求めているようにも思えた。

◇醍醐寺(だいごじ)◇
 京都市伏見区醍醐東大路町22。京阪バス22・22A系統「醍醐寺前」下車。京都市営地下鉄「醍醐駅」下車、徒歩20分。07-571-0002。貞観16(974)年、理源大師の開創と伝えられる。五重塔などの国宝、重要文化財は多数。本尊は准胝(じゅんてい)観音。世界遺産。上醍醐准胝堂は西国観音霊場11番札所。境内有料。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください2020.03.28

更新日時 2020/03/28


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