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寺の花ものがたり(233) 禎祥寺(愛媛県西条市)藤=4月下旬~5月上旬

2014年4月26日撮影

 早坂暁さんのドラマのタイトルを勝手にいただいて、毎日新聞旅行で「花へんろ」と名づけた遍路旅を企画したことがある。基本は月に1度の1泊2日のバスを使った遍路だが、良い遍路道は歩き、さらに札所の花の時期を組み合わせた巡拝なので、88カ所の順番を崩した変則遍路だった。
 札所以外ではあっても、遍路ルートに近ければ、花の寺にも寄った。バス遍路ならでは企画だった。
 4月下旬に、愛媛県を巡拝した時に、藤を求めて西条市の禎祥寺を参拝した。小さな寺だが、樹齢400年を誇る藤の木があった。狭い境内いっぱいの枝を広げている。藤棚は東西12メートル、南北16メートルに広がり、山門の外にまで張り出していて、香りを振りまいていた。。
 品種は野田藤と、説明板にあった。野田は大阪市の野田のことで、私が勤めていた毎日新聞の大阪本社からそれほど遠くはない。江戸時代には「吉野の桜、野田の藤」と並び称されたという。その後、野田フジはすたれ、今は下福島公園に移植され、15ほどの藤棚で育てられている。花へんろに出る数日前に、下福島公園をのぞいたが、ほんの咲き始めだった。
 禎祥寺の野田藤は見ごろだった。それどころか、その年の1番良い日に訪ねたようだった。ビデオを回していた地元のNHKの人が、そう言っていたし、他のテレビ局の取材も、その日に集中しているとも話していた。
 藤の房はそれほど長くはなく、せいぜい50センチくらい。それがかえって上品な印象を与える。手入れが良いのかよく揃っていた。フジを観賞し、写真を撮っていると、私を含めてメンバーの3人が、NHKの取材を受けた。その日のニュースで流れたのかどうかは知らないが。

◇禎祥寺(ていしょうじ)◇
 西条市上喜多川47。JR伊予西条駅から徒歩10分。鎌倉時代の創建と伝えられる。藤は愛媛県と西条市の天然記念物に指定されている。境内自由。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください2020.04.12

更新日時 2020/04/12


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