心にしみる一言(228) 神山をしだれ桜の町に
◇一言◇
神山をしだれ桜の町に
◇本文◇
徳島県神山町に、第三セクターのホテル「四季の里」がある。遍路などで桜の時期に徳島に行くことがあると、このホテルに泊まりたくなる。
きっかけは15年近く前に初めて泊まった時の会話にさかのぼる。温泉の大浴場に入り、窓から外をながめていた。目の前は、緩やかな山の斜面を利用した公園になっていて、しだれ桜の若木が何本も植えてあった。4月の10日に近かったと思うが、花は残っていた。
同じように外の桜をながめていた地元の人が、声をかけてきた。「『神山をしだれ桜の町に』と考えた植物の先生の指導で、一所懸命育てているんですよ」
白が勝った上品なしだれと、柔らかいピンクのしだれが混じっていた。ピンクの方は「センダイシダレ」と聞いたような気もするが、記憶ははっきりしにしない。
自分の方から語り出したということは、桜が自慢でもあり、植物の先生と同じ夢を見ていたのだろう。その後、何度か春の神山町を訪れた。しだれ桜は次第に町内に広がり、木も大きくなっている。先生と町民の夢は、正夢になりつつある。(梶川伸)2020.03.26
更新日時 2020/03/26