心にしみる一言(208) 不動明王は体にむち打って願いをかなえようとしている
◇一言◇
不動明王は体にむち打って願いをかなえようとしている
◇本文◇
「近畿36不動」という不動明王参拝の霊場がある。20年ほど前に回った。
最後は和歌山県・高野山の36番南院。不動は波切不動だった。厨子の中に入っていて、かすかに見えるが、どんな姿かはわからなかった。お参りの場所の上には竜が描かれ、手をたたくと響く仕掛けになっている。大きな線香立てにも、竜の飾りがあった。
36不動を回り終えたので、不動について住職に教えてもらった。話の中に、取り上げた言葉もあった。聞いた話を要約するとーー。
不動明王は如来や観音のようにきれいな姿の仏像ではないが、体にむち打って願いをかなえようとしている。汗と油にまみれて、われわれのためにかけずりまわっている。そこに重みがあり、縁の下の力持ちといったイメージがあり、だから願いをかける人も多い。
不動明王は5大明王の中心。その化身が8大竜王で、竜の彫り物や壁画がたくさん使われる。護摩をたいたり、滝に打たれる行は、不動のお姿から作り出されたものだろう。
不動心で、誘惑にまどわされず、信念を貫く気持ちが大切。霊場でお願いし、その気持ちをより深めると、御利益がある。
取材を兼ねていたので当時のメモがあり、住職の言葉をピックアップしてみた。(梶川伸)2019.09.10
更新日時 2019/09/10