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心にしみる一言(207) 海側は高い。地元のものが行く山側の店を教えてあげる。

3年前に尾道で食べた小イワシの刺し身

◇一言◇
 海側は高い。地元のものが行く山側の店を教えてあげる。

◇本文◇
 青春18切符を使って大阪から広島県・尾道を訪ね。日帰りしたことがある。20数年前のことだった。
 ノンビリと寺々を巡って、夕方になった。帰途につくまで、少し時間がある。一杯飲もうと考えて、駅の売店の女性に「安くておいしい魚の店」を尋ねてみた。少し考えてから、口にした言葉を要約すると、上記のようになる。
 もう少し、詳しく書いてみる。「尾道は結構高いからねえ。特に海側の店は観光客向けだから。地元のも者は山側の店に行く」。そう言って教えてくれたのが、「くしま」という居酒屋さんだった。「あそこは今日獲れた魚を使うから」
 「食べ物屋は地元の人に聞くのが1番」と言うが、その通りだった。特に印象に残ったのは、店の大将お薦めの小イワシの刺し身だった。長さ10センチほどのもので、骨と頭を取ってあったから、さらに短くなる。
 ネギとショウガをたっぷり入れたしょうゆで食べる。トロトロとした味が絶品だった。500円という値段も覚えている。
 尾道駅からの帰り際、店を教えてくれた女性に礼を言った。「よかったあ」と喜んでくれたのも覚えている。
 それから10年後、尾道に行く用事があり、店を再訪した。前回のことを話して、小イワシの刺し身を頼むと、大将は「運がいい」と言って、それを出してくれた。「新鮮なものしか刺し身にしない」と言い、2回ともその日に当たって、食べることができた。値段はやはり500円だった。
 それから5年後、今から3年前、友人グループで尾道に行った。小イワシの刺し身の思い出を語り、海側の店で昼食をとり、小イワシの刺し身も頼んだ。思い出のものよりも少し大きい気がした。(梶川伸)2019.09.01

更新日時 2019/09/01


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