このエントリーをはてなブックマークに追加

心にしみる一言(195) 白い装束をしていればみんな同じなのに

4カ国語で書かれた同表の設置作業

◇一言◇
 白い装束をしていればみんな同じなのに

◇本文◇
 お遍路さんのため休憩所を建てる「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」に、私は10年あまりかかわっている。四国の人の優しさに支えられた平和な活動だが、ヘイトスピーチが絡んできたことがあった。
 韓国ソウル市在住の女性が四国霊場を歩いて4巡し、遍路の先達の資格を取った。そこで、プロジェクトの総会で講演してもらった。その女性に、卑劣な中傷の牙が向けられた。
 「遍路は日本の文化であり、韓国人が先達になるのはおかしい」。根底にあるのは、そんなゆがんだ意識だったと分析できた。
 建設した休憩所の何カ所にも攻撃のビラが張られ、プロジェクトの事務局にもいやがらせのメールがあった。腹立たしくもあり、滅入るような気分だったが、子どもたちの当たり前の思いと行動に救われた。
 徳島県阿南市のヘンロ小屋3号・阿瀬比(あせび)に近い、山口小学校の児童たちだった。日ごろからお遍路さんに接しているの子どもたち。地域のことを調べる授業で遍路を取り上げ、新聞やテレビで韓国女性への攻撃のニュースを知り、心を痛めた。「白い装束をしていればみんな同じなのに」と。
 児童らは思いを行動に変えた。阿瀬比の小屋のそばに、石の道標を建てることを決めた。手作りした遍路グッズを売り、4万円を集めて費用に充てた。
 道標には遍路道の方向とともに、「応援しています」と書かれている。日本語、ハングル、英語、中国語で。(梶川伸)2019.06.24


更新日時 2019/06/24


関連リンク