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心にしみる一言(190) 雨があたると、荒削りの方が痛まない。傑作を長持ちさせるための工夫だったのではないか。

神谷神社

◇一言◇
 雨があたると、荒削りの方が痛まない。傑作を長持ちさせるための工夫だったのではないか。

◇本文◇
 四国遍路の先達でみなさんを案内する時、私のお薦めの場所によく寄り道をする。 香川県坂出市神谷町621、神谷(かんだに)神社にも、しばしば寄ってみる。
 小さいながら、国宝の指定を受けている。三間社流造りの本殿は,檜皮葺(ひわだぶき)の屋蓋・ヤリガンナ仕上げの丸柱・面とりの向拝の角柱など、鎌倉時代の建築様式がよく表現されている。この時代の建築としては,日本最古とされている。
 宮司は気さくな人で、時間的に余裕があればが説明してくれる。宮司によると、建物の軒下から「建保七年」の年号を書いたものが見つかっていて、西暦では1219年だという。建造年がはっきりしている神社で現存のものでは最も古いそうだ。
 宮司は「観光の神社ではないので、あまり参拝客は多くない」と実情を語り「当時の建物としては、傑作ができたと思う」と考えを示す。
 「後の柱は荒削りに朱が塗ってあった。後側は屋根が伸びてないので、雨があたる。荒削りの方が痛まない。傑作を長持ちさせるための工夫だったのではないか。前の柱は細い。垂木は曲線のものを使っているが、これは珍しい」
 「氏子は150人しかいない」「屋根の葺き替えは平成12年にやっていて、次は32年の予定。うちのように何も事業をしていない神社の場合、国が8割を出し、残りを県、市、地元が出す」。そんな雑談も交えても説明だった。
(梶川伸)2019.05.10

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