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心にしみる一言(191) 先代の教えは「お金持ちよりも、お遍路さんを大事にしなさい」

金比羅温泉郷の名所の1つ、年に1度の金比羅宮の大祭の時だけに使われる鞘(さや)橋

◇一言◇
 先代の教えは「金持ちよりも、お遍路さんを大事にしなさい」

◇本文◇
 遍路で知り合ったグループが同窓会と称してもう1度、四国を回ったことがある。人数は20人ほどだったので、バスで行ったが、旅行会社は通さず、行程は私が作った。
 香川県琴平町の金比羅温泉郷で1泊することになった。遍路旅なので、豪華な宿に泊る積もりはないが、人気の温泉郷なので、一定の金額は覚悟していた。
 計画を立てるため、事前にホテル八千代に電話で打診した。こちらの人数を告げて、料金を尋ねた。女将は「お遍路さんですか」と聞いた。人数から分かったのだろう。「そうです」と話すと、「7000円でどうですか」と言う。夕食・朝食がついてこの値段だった。
 1月のことで、ホテルにとっては暇な時期だったこともあっただろう。1万円は超えると考えていた。あまりに安いので、料理が貧弱になってはいけないと思い、こちらの方から「8000円にしてください」と値上げをしてもらったほどだ。サービス料と入湯税はべつだったが。
 ホテルで女将に礼をいうと、取り上げた言葉が返ってきた。それは先代からの教えの理由は、「お遍路さんの中には、何度も回る人がいる」というのものだった。そこまでいくと、商売っ気が垣間見えないではないが、安い値段を提案してくれた女将の意気に感じ、その後もツアーの先達をした時に、また泊ったことがある。女将と先代の狙い通りかも。(梶川伸)2019.05

更新日時 2019/05/17


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