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心にしみる一言(189) 子どもたちが引きあげるので、先にお接待を受けてもらえませんか

園児たちのお接待

◇一言◇
 子どもたちが引きあげるので、先にお接待を受けてもらえませんか

◇本文◇
 四国88カ所の遍路は、徳島県鳴門市の霊山寺から始まる。寺では本堂で般若心経をあげ、次に大師堂で同じ事を繰り返す。
 ある回のスタートで、霊山寺の本堂にお参りをし、大師堂に向かっている時に、取り上げた言葉で声をかけられた。
 近くの板東みやま保育園の保育士だった。3歳児たちがお接待をしていた。山門をくぐった際に、「後で寄ります」と声をかけていた。しかし園児達は引きあげる時刻を過ぎていたのだろう。それでも待っていてくれたのだ。
 子どもたちは小さな透明の袋を手に手に差し出す。その中には、あめが2つ、「梅ごのみ」と、しおりが入っていた。しおりにはツクシの絵と、「気をつけてね」の文字。それに「ほのか」「しおり」といった名前が書いてあった。
 1つ受け取ると、違う子どもも袋を差し出し、もらったのは2つ。納め札に「感謝」と書いて渡すと、ほかの子どももほしいと手を出す。「感謝」の文字を入れる余裕はなかったが、納め札は10枚ほど手渡した。
 お遍路さんをもてなすお接待の文化は、このようにして次の世代、その次の世代へと受け継がれていく。(梶川伸)2019.05.02

更新日時 2019/05/02


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