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心にしみる一言(188) 漁師しよったら、雇われとっても、10日ほどで20万から30万円入る。わしの息子もそうじゃが、(広島県)福山に出とった若いもんも、ほとんど帰ってくる。

走島の港の風景

◇一言◇
 漁師しよったら、雇われとっても、10日ほどで20万から30万円入る。わしの息子もそうじゃが、福山に出とった若いもんも、ほとんど帰ってくる。

◇本文◇
 広島県福山市沖の走島は、広島県内でも有数の漁獲量を誇る。訪ねたのは経済のバブルがはじけて、まだ5年のころだった。
 魚網やロープを干したり、手入れする光景があちこちに繰り広げられていた。少し雑然としているが、それが漁民の生活臭でもあった。
 ロープを干していた漁師と、しばらく話し込んだ。「漁師は大変ですね」と聞くと、答は意に反していた。それが取り上げた言葉だった。バブルがはじけた影響を色濃く残していた時期だからの言葉だろう。
 続く言葉はこうだった。「わしら親方は、次の網でうまいこといきゃあ、大きな金が入ると考えて、それを楽しみに頑張るわけよ。宝くじと一緒さ」
 ほかにもいろいろ教えてもらった。「定置網は基本的にはタイ網だが、フグ、グチ、タチウオなどもとれる。2日に1度くらい袋になった部分の網を上げる。袋は3つから4つついている。4、5年前は何百万もとれた。最近は40-50万円。10万円の時もあるし、2万円の時もある。大フグもとれなくなった。22軒が網を張っていたがやめる人が増えた」
 バブルで都会に出て、はじけて島に戻るなど漁業が見直された。しかし、一次産業を取り状況は厳しくなっていき、それに抗えなくなっていく時期でもあったのだろう。(梶川伸)2019.04.30

更新日時 2019/04/30


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