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寺の花ものがたり(202)長建寺(京都市伏見区)糸桜=4月上旬

2015年4月5日撮影

 長建寺に最初に行ったのは、伏見の酒蔵めぐりをした時だった。ちょうど桜の時期で、繊細な花が印象に残っている。
 その後も何度か、境内に入ったことはある。しかし、桜を目指したのではなく、月桂冠や黄桜、玉乃光の酒蔵、あるいはお酒を飲める店に行くのが主だったため、桜を見たのは最初の1回だけ。
 初めての時は、近鉄電車桃山御陵前駅で降りて、伏見の街を散策した。酒蔵の横を流れる濠川のほとり歩くと、雪柳や木瓜(ぼけ)の花が咲いていて、春のうれしさを感じながら、川に召した寺の山門をくぐった。
 境内は狭い。その真ん中に、椿の生け垣に囲まれるように、枝垂(しだ)れ桜の糸桜が立っていた。名前の通り、細い枝が糸の枝垂れている。花は白くて小さい。何ともはかなくて、優しい風情がある。
 境内はほかの種類の桜もある。しかし、ここでは糸桜にかなわない。弱い風が吹くと、気品をふりまくように、たおやかに揺れる。

◇長建寺(ちょうけんじ)◇
 京都市伏見区511。京阪電車中書島駅から徒歩5分。075-611-1039。本尊は弁財天で、正式名称は弁財天長建寺。1600年ごろ建立。境内自由。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください2019.04.04

更新日時 2019/04/04


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