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寺の花ものがたり(201) 醍醐寺(京都市伏見区)桜=4月上旬

2005年4月5日撮影

 「醍醐の花見」という。豊臣秀吉が1598年4月20日に、醍醐寺三宝院の裏で開いた。今でも京都の代表的な桜の名所の1つになっている。
 西国観音霊場の11番札所が醍醐寺で、上醍醐・准胝堂には巡礼の最中に参ったことがある。桜の時期にも醍醐寺を訪ねたいと思って出かけたのは、14年も前のことになる。パソコンに残っていたその時のメモを見ながら、この文章を書いている。
 地下鉄の醍醐駅に降りると、ボランティアによる案内所があった。何人もが「バスはこちら」「歩きはこちらから15分」いった具合で、そのにぎやかさに驚いた。
 歩いて寺に行くと、また驚いた。観光客が非常に多い。平日だが、天気がよく、枝垂れ桜が満開だったからだろう。3カ所セットの拝観券を買うのに並ぶほどだった。
 まず三宝院。入った所の枝垂れ桜が満開だった。薄いピンクの花と、それよりはやや濃い目のピンク。桜療養中の表示があり、根元に板が敷いてあった。新聞にクローン桜の記事が載った直後で、見れば高さ3メートルほど。花はチラホラだった。直前の3月25日に、住友林業と住友林業緑化が植えていた。
 もう1カ所、霊宝館へ。枝垂れ桜が見事だった。これも満開。淡い八重のピンク。幅は20メートルほど枝を張っている。これは目を見張る。 
 館の中では、寺宝がたくさん展示してあった。醍醐の花見の時に詠んだ歌の短冊は、寺は読めないのだが、秀吉、秀頼、前田利家、淀の順で並んでいるらしい。江戸中期の三熊露香の倭花名品は、桜の種類を図鑑風に描いたもの。奈良の八重桜もあった。
 それから時は慣れたが、今年もにぎわうことだろう。

◇醍醐寺(だいごじ)◇
 京都市伏見区醍醐東大路町22。京都市営地下鉄醍醐駅下車、徒歩15分。075-571-0002。理源大師が貞観16(874)年に上醍醐山上で小堂宇を建立したのが始まりとされる。三宝院・霊宝館・伽藍に分かれている。本尊は薬師如来。世界文化遺産。拝観有料。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください3029.03.23

更新日時 2019/03/23


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