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心にしみる一言(184) 30年たって、やっと土がよくなり、おいしい作物ができるようになった

真鍋島の港

◇一言◇
 30年たって、やっと土がよくなり、おいしい作物ができるようになった

◇本文◇
 瀬戸内海の島を巡り歩いていた時期がある。20年ほど前のことだ。
 岡山県笠岡市の真鍋島では、島内を歩いていて、道に迷ってしまった。目的地を聞くために声をかけた女性は親切で、いすを家から持ち出して、ミカンのジュースをごちそうしてくれた。自然農法をしているというので、しばらく話し込んだ。
 ミカンのジュースは自然の味で、かすのようなものも浮いていたが、それれが手で絞った自然のよさだろう。お代わりをしてしまった。
 自然農法は父親の代からだった。「健全でおいしいものを」がモットーで、化学肥料はもちろん、堆肥も使わない。自然に任せ、1年間で50種類ほどを作っていると話した。「乾燥した土地なので、植物がギリギリのところで生きていく。そのために、おいしさが濃縮された作物ができる」とも語った。
 しかし、簡単な道のりではなく、上記の言葉となる。その後の言葉も印象的だった。不便は島で作物を作ってどうするのだろうと思っていたら、「芦屋の方の店に出す。芦屋あたりでは消費者の意識が高く、少し値段が張っても、無農薬や自然農法の作物を食べる」のだそうだ。(梶川伸)2019.03.12

更新日時 2019/03/12


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