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心にしみる一言(185) 歩くことは、高血圧の予防に効果がある。当たり前ようだが、何となくそう思っていただけで、実際には科学的に証明されていなかった

歩くのはいいとわかってはいるが

◇一言◇
 歩くことは、高血圧の予防に効果がある。当たり前ようだが、何となくそう思っていただけで、実際には科学的に証明されていなかった

◇本文◇
 毎日新聞の記者時代、同僚から高校時代の同級生を取材してほしいと頼まれたことがあった。取材当時、同級生は大学の医学部の講師で、大阪ガスと協同して行った研究成果が、有名は医学誌に載ったという。研究の内容を一言で示せば、取り上げた言葉となり、それを証明したのだった。
 研究の基礎データにしたのは、大阪ガスの社員約1万2000人の健康診断の情報だった。その中から、通勤の際の歩く時間(片道)を取り出し、高血圧との関係を、多変量解析という専門的な手法で分析した。通勤で歩く時間が10分以内の人をコントロール(基準)とし、それ以上長く歩く人とを比較した。
 結論は、コントロールの人が高血圧になる危険度を1とすると、歩く時間が11~20分の人の危険度は0.88、21分以上の人の危険度は0.71と下がっていた。つまり、歩く時間が長くなれば高血圧になりにくく、21分以上歩くと、その危険度は3割下がる。当たり前すぎてピンとこなかった。
 しかし、次に続いて言葉で、歩く事の大事さがわかった。「別の計算では、21分以上歩けば、26人に1人は高血圧になるのを免れる」と前置きし、「薬で26人に1人を予防するのは難しい。通勤中の徒歩なら、運動という意識がなく行うことができるし、金をかけることなく健康に役立つ。特に、予防という見地から、意味が大きい」と話し、通勤の時に1駅間を余分に歩くことを勧めたのだった。
(梶川伸)2019.03.27

更新日時 2019/03/27


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