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心にしみる一言(149) 酒は冬眠しているんです。まず、その温度で飲む。次に7度くらになったもの、最後に常温に戻したものを。

◇一言◇
 酒は冬眠しているんです。まず、その温度で飲む。次に7度くらになったもの、最後に常温に戻したものを。

◇本文◇
 大阪市の大阪ドームのそばに、「御酒蔵」と書いて「さかぐら」と読ませる店があった。
 日本酒を飲ませる店で、ペンシルビルの2階分を占め、上は高級店、下は半分セルサービスの安い店になっていた。もちろん、行くのは下の店。残念ながら経営者の佐竹克人さんが亡くなり、店はなくなってしまった。
 下の店の一角に、ガラス張りの大きな冷蔵室がある。中に一升瓶がズラリ。吟醸酒を中心に約300種類。
 客は冷蔵室に入り、好みの酒を選び、ガラスの1合入り容器に、なみなみと入れる。それを自分のテーブルに持ち帰り、小さなグラスについで飲む。容器1杯がすべて500円。20年少し前のことではあるが。
 佐竹さんは全国の酒蔵を回り、気に入ったものを集めていた。だから、酒の話を聞くのも楽しみだった。冷蔵室は0度のコントロールしてあり、飲み方を聞いた時に話したのが、上の言葉だった。そして、「それぞれ別の酒だと思うはず」と付け加えた。
 「おいしい酒は?と聞かれても困る。酒は年によってできばえが違う。だから、今年のおいしい酒は?と聞かれれば、答えることができる」これも、佐竹さんの言葉だった。(梶川伸)2018.02.28

更新日時 2018/02/28


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