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心にしみる一言(146) わしらはいいが、琵琶湖がかなわんやろ

琵琶湖

◇一言◇
 わしらはいいが、琵琶湖がかなわんやろ。

◇本文◇
 滋賀県の琵琶湖を囲むように広がる田園地帯で、近江米の生産者を取材したことがある。収穫量の上がりにくい「不耕起栽培」に、あえて取り組んでいたからだった。
 名前通りの農法だった。普通なら冬がくると、、来年に備えていったん田を耕す。それをしない。田植え前の代かきもしない。苗を植える際は、わずか3センチ四方で深さ3センしか掘らない機械を使う。
 田を掘り起こせば、稲の根が張りやすくなり、水持ちがよくなる。その一方で、田に張った水は泥水となって川に出て、琵琶湖に流れ込む。だから、「わしらはええが、琵琶湖がかなわんやろ」となる。
 子どものころは自転車をこいで琵琶湖に泳ぎに行った。名産のフナずしを手づくりする。湖と共に育った農民の思いが、その取り上げた言葉に現れていた。(梶川伸)2018.02.14

更新日時 2018/02/14


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