寺の花ものがたり(137) 実相院(京都市左京区)紅葉=12月後半
京都・鞍馬寺で紅葉を見た帰り、実相院に寄ったことがある。山門の外から、中の紅葉が見える。
建物の中に入ると、「床もみじ」が待ち構える。木の床がピカピカに磨いてあり、庭の紅葉が床に写り、それを見る。残念ながら写真は禁止だった。
庭を眺める。モミジの木が奥1面に植えてある。見ごろだったため、紅葉の壁にはなっているいた。ただ集中しすぎてすきまがなく、それが余裕のなさにも感じ、息苦しくなる。その意味では、床に柔らかく写った赤の方が趣がある。
ふすま絵が有名で、狩野山楽を祖とする京狩野派の狩野永敬らの作品が部屋ごとにあり、前に竹が置いてあるだけで、すぐそばに近づくことができる。
不動は「使者の間」に安置されていた。ふすま絵は永敬の作品。片方は梅にウグイス、片方はボタンとサクラ。不動はそんな絵に囲まれて立っていた。鎌倉時代の木造。黒くすすけている。腰を左にひねっている。それに連れて、左肩が少し上がり、顔は左側に傾いている。まゆがつり上がっているが、目はいたずらっ子のような雰囲気がある。
◇実相院(じっそういん)◇
京都市左京区岩倉上蔵町121。075-781-5464。叡山電鉄鞍馬線岩倉駅から徒歩20分。本尊は不動明王。寛喜元(1229)年、静基(じょうき)僧正の開基。「床もみじ」のほか、初夏に青もみじが写る「床みどり」も有名。拝観有料。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、」ご了承ください。2017.1120
更新日時 2017/11/20