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心にしみる一言(133) 尊敬語とシクシクなど感情を表す言葉が難しい

 2001年に自転車で韓国の釜山市からソウル市まで走ったことがある。「ピースサイクル」と名づけられた催しを、同行取材したのだ。大都市の中心部は交通量が多いのでバスで移動したため、全走行距離は300キロあまりだった。
 その間に、たくさんの人と話す機会があり、その中で1番印象に残っているのは、啓明大学日本語学科で学ぶ6人の学生と交流会だった。日韓関係は悪い時期だったが、日本語を学んでいる学生だったので日本への関心は高く、若者の本音を聞く良い機会だった。
 1人の学生が口にしたのが、上記の言葉だった。外国人にとって、尊敬語がやっかいだというのは知っていた。しかし、「シクシクが難しい」と聞いて、「なるほど」と思った。確かに擬音語、擬態語は大変多い。日本語を学ぶ人は苦労することだろう。
 それらを「感情を表す言葉」と聞いて、うれしくなった。日本人の感情は繊細だからこそ、たくさんの表現があるのだと理解した。そのことを学生も理解していたのも、うれしいことだった。
「英語が1番人気があり、次いで中国語と日本語」「日本が人気があるのは、日本が近くにあって日本文化が若者に受けているから。日本文化ですぐ浮かんでくるのは、映画の『ハナビ』『影武者』、文学、ファッション。徳川家康も知っている」「日本文学を専攻している。源氏物語、芭蕉、蕪村、夏目漱石、窓ぎわのトットちゃんを知っている」「東京の人より大阪の人の方が正直。歴史教科書は国家と国家の問題。私たちは、人と人が会うことが楽しい」。これらはみんな、学生の言葉である。(梶川伸)2017.11.10




更新日時 2017/11/10


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