心にしみる一言(129) 世の中の落第生だから、(千日回峰行を)2回すれば何とか追いつくと思って
◇一言◇
世の中の落第生だから、(千日回峰行を)2回すれば何とか追いつくと思って
◇本文◇
前々回(127回)に、比叡山の千日回峰行を成し遂げた大阿闍梨(あじゃり)の言葉を取り上げたが、その行を2回も経験した酒井雄哉さんの言葉を取り上げた。
取り上げた言葉には、少し説明がいる。酒井さんは40歳まで普通の仕事をしていた。それも「1年働いてはどこかに行っちゃうという落ちこぼれ組」と説明した。
40歳での得度は、かなり遅い方だ。スタートが遅いので、何をしよおうかと考えた。「学問するには年だし、事務的なことにたんのうなら40歳までウロウロしていないだろうし、結局、体を使うか、拝み倒すしかないと気づいて、行を選んだ」そうだ。50歳の時だった。満行の翌年から、もう1度行に入ったのだから驚く。その理由が、取り上げた言葉となる。「年をとっていたので、先が見えている分、どうのこうの考えずにやった」のだそうだ。(梶川伸)
更新日時 2017/10/05