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心にしみる一言(128) 今は離れている息子が家に帰ってきたら、こう言う。「おはよう」

淡路島で撮った朝日

◇一言◇
 今は離れている息子が家に帰ってきたら、こう言う。「おはよう」

◇本文◇
 性同一性障害の高校生のお母さんから話を聞いて、小さななコラムで紹介したのは2006年12月だった。子どもが嫌っていた名前の改名を、裁判所が認めたという内容だった。その時、最終的には戸籍を変えることだと話していた。
 高校を卒業する時には、男として社会に出たい、という子どもために、お母さんは子どもの側に立って懸命に活動していた。今から10年以上前なので、性的マイノリティーを取り巻く状況はもっと厳しいものがあった。
 お母さんの言葉には、いまだに覚えているものがいくつかある。「『体が女で心が男』と言われることがあるが、それは違う。『体が女で脳の機能が男』だ。脳の機能を変えることはできないので、手術で体の方を変える以外にない」「最大の壁はお父さん(夫)だった」
 それからかなりの年月を経て、そのお母さんから電話があった。友人とお酒を飲んでいる最中だったのを記憶しているから、夜のことだった。声は弾んでいた。「今日、戸籍を男性に変えることができた」
 そして口にしたのが、取り上げた言葉だった。長い夜だったからだろう。以前、淡路島で撮った朝日の写真をつけてみた。(梶川伸)2017.09.25

更新日時 2017/09/25


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