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心にしみる一言(124) 20年前は1人で20冊も借りていった。銭湯の帰りがけの借りる人も多かった

 メモによると、JR尼崎駅で降り、長洲中通、長洲本通あたりを散策したのは、1998年のことだった。
 小さな公園があった。子どもたちが自転車で乗り着け、ドッジボールをして遊んでいた。公園の横に、缶に入れた空気入れが置いてあるのに気づいた。そばに自転車屋があるので、その店のものらしい。よく使われるん違いない。地域コミュニティーが生きていると思った。
 その光景もよかったが、さらに印象に残ることがあった。間口の狭い店のガラスに「貸し本 タケダ」と張り紙がしてあったのだ。幼いころ、母親の実家に里帰りすると、近く貸し本屋があって、漫画本を借りるのが楽しみだった。
 懐かしくなって、店に入ってみた。店の女性に聞くと、20年ほどやっているという。そこで昔話になり、取り上げた言葉となる。
 また「今」に戻る。「しばらく前までは、近くにも別の貸し本屋があったが、尼崎ではもう1軒になった」。それが現状だった。「古い本ばかりになって、今はあまり借り手がない。そこで、売る方に力を入れているが、古い本は売れない」という悪循環にも触れた。
 街はかわり、子どもを取り巻く状況も変わった。「銭湯もなくなっしまった。子どもも少なくなったし、ゲームばかりで本は借りない」。それからさらに20年ほどたった。どこまで変わってしまったのだろうか。全く違った街になっているだろうか。(梶川伸)2017.09.06

更新日時 2017/09/06


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